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塗装箇所で違う?外壁、屋根塗装で使用する塗料の特徴と耐用年数
更新日 : 2024年03月14日
更新日 : 2024年03月14日
「塗装時期を迎えたけど次はどの塗料を選ぶべき?」
「業者に勧められた塗料で塗っていいのだろうか」
この記事では、塗装の必要性や塗料の種類、耐用年数を詳しくご紹介いたします。
塗装の知識がないからと、業者の言われるままに塗装を行うのは無駄な出費が大きくなる可能性があります。 塗料と建材の耐用年数・特徴を把握しお住まいに合った塗装工事を行いましょう。
なぜ塗装をしなければならないの?
「築10年を経過したら塗装しましょう」という言葉は良く耳にすると思います。築10年程度で色褪せや汚れの付着が目立つようになりますので、とりあえず耐用年数の長い塗料で塗り替えをしようという方も多いと思います。しかしそもそもなぜ塗装メンテナンスをしなければならないのでしょうか?
お住まいを守る建材は水に弱い物ばかり
お住まいに使用されているスレート屋根材や窯業系サイディング、モルタルの主成分は「セメント」です。セメントは水分に弱い素材ですので、素材本来の耐用年数を維持する為には、雨水との接触を妨げ屋根や外壁材の劣化を防ぐ僅か3㎜の塗膜が重要な役割を担っています。 ログハウスや付帯部に木材を使用しているお住まいは、木材自体が劣化してしまうと腐食し木材本来の耐久性(耐用年数)が維持できなくなってしまいます。
塗料を選ぶときには建材の耐用年数も考えましょう
塗装工事を行う際に「この塗料の耐用年数は〇年です」「塗り替えの目安は〇年後です」と説明がありませんか?塗料には各社メーカーによって、塗料が何年間耐久性を維持できるのかという耐用年数が示されています。この耐用年数を目安に塗り替えを行っていくのですが、立地によっては耐用年数前に塗装が必要になるお住まいもあります。
同様に建物にも耐用年数が存在しますが、こちらは国税庁が発表する建築材ごとに建物の寿命を示します。例えば木造住宅の耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造住宅の耐用年数は47年と示されています。耐用年数に達すると倒壊するというわけではなく、減価償却資産が利用に耐える年数を示しているため、耐用年数=塗料や建物の限界というわけではありません。
減価償却資産の耐用年数(建物)
構造・用途
細 目
耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造のもの
住宅用のもの
47年
木造・合成樹脂造のもの
店舗用・住宅用のもの
22年
※国税庁ホームページ 建物の耐用年数より一部抜粋
しかしこの耐用年数は塗装と建物に非常に大きく関係します。というのも本来、スレート屋根材の耐用年数は防水紙の耐用年数も踏まえ20年程度、窯業系サイディングの耐用年数は40年程度、モルタル壁の耐用年数は30年程度と言われています。
耐用年数は建物を守る耐久性を維持できるであろう年数ですので、耐久性に優れた建材の耐用年数を維持するためにも塗装が必要なのです。建材の耐用年数を知るという事は、メンテナンスに耐用年数がどの程度の塗料を使用するかを考えることが出来ます。 耐用年数の短い塗料で頻繁に塗り替えるか、耐用年数の長い塗料で塗り替え回数を減らすかはそのお住まいの状態次第です。耐用年数の長い塗料がお住まいに適している訳ではありません。お住まいの状態にあった耐用年数の塗料を使用することが大切なのです。
そもそも塗料はどのように出来ているの?
何気なく業者おすすめの塗料を使用していると思いますが、塗料の成分や耐用年数の決め手はあまり知られていません。塗料は顔料・溶剤・添加剤・樹脂で形成されていますがそれぞれの役割をご紹介します。
1.顔料
顔料の役割 | 白は酸化チタン、黒はカーボン等の顔料を混ぜ合わせることでご希望色に仕上げることが出来ます。 |
顔料を含んだいわゆる着色塗料を「エナメル」、顔料を含まない塗料を「クリアー」と呼ばれます。
2.溶剤
溶剤の役割 | 塗料の粘度調整や仕上がりを綺麗にするための成分です。 |
水で希釈したものを「水性塗料」、シンナーで希釈したものを「油性(溶剤)塗料」と呼ばれますが、近隣住宅への臭い対策や健康被害が懸念され水性塗料が主流になりつつあります。現在は水性塗料でも油性(溶剤)塗料に劣らない耐用年数です。
3.添加剤
添加剤の役割 | 分散剤や防腐剤は塗料の性能向上、性能低下防止に混ぜられています。 |
防藻・防カビ性能のある塗料や、艶消し塗料には少量ですが必ず含まれています。
4.樹脂
樹脂の役割 | 塗膜の主要素となる成分ですが多くが石油を原料とした合成樹脂です。 |
塗料のグレードは原料となる樹脂を表しており、樹脂の違いで塗料の耐用年数が大きく変わります。加工時に二酸化炭素を発生させてしまう石油系資源に代わる、地球に優しい塗料も注目されています(水谷ペイント:ナノコンポジットWなど)。
塗料の種類と現在主流となっているのは?
屋根外壁塗装に使用される塗料は時代と共に変化しています。今まで使用されていた塗料と現在の主流塗料、今後更に注目される耐用年数の長い塗料をご紹介致します。
1.アクリル塗料
アクリル塗料の耐用年数 | 5~8年程度 |
非常に安価ですが耐用年数が5~8年程度と短いので現在塗り替えに使用されることはほとんどありません。しかし全く使用されていないという事でもなく、新築時は構造木材の動きからひび割れを起こしやすい為、アクリル塗料が使用されることがあります。 透湿性が高いので太陽光や雨水に晒されにくい軒天塗装にも使用されます(日本ペイント:ケンエース等)。
2.ウレタン塗料
ウレタン塗料の耐用年数 | 7~10年程度 |
耐用年数が7~10年程度でメンテナンスサイクルが短くなりますので、現在はほとんど使用されませんが柔軟性と密着性に優れています。頻繁にカラーチェンジをしたいというお住まいにお奨めです。
3.シリコン塗料(アクリルシリコン)
シリコン塗料(アクリルシリコン)の耐用年数 | 10~13年程度 |
耐用年数が10~13年程度と長く、耐候性に優れていながら比較的リーズナブルな価格でバランスの良い現在の主流塗料です。
4.ラジカル制御型塗料
ラジカル制御型塗料の耐用年数 | 12~15年程度 |
白色顔料の原料である酸化チタンは紫外線に晒されることで「ラジカル」と呼ばれるエネルギーを発生させます。ラジカルは樹脂や顔料を劣化させ、塗料の耐久性(耐用年数)を低下させてしまいます。 チョーキング現象の原因にもなるラジカルの発生を抑える為に、高耐候酸化チタンと光安定剤(HALS)を取り入れた塗料がラジカル制御型塗料です。 日本ペイントのパーフェクトシリーズはアクリル樹脂塗料ですが耐候性はシリコン塗料以上と言われており、耐用年数は12~15年程度と今後更に期待される塗料です。
5.ピュアアクリル塗料
ピュアアクリル塗料の耐用年数 | 15~20年程度 |
本来アクリル樹脂は耐久性の高い物質ですが、可塑剤等の不純物が入ることで耐用年数が短くなってしまいます。純度を上げたピュアアクリルは本来の高い耐久性(耐用年数)・弾性・耐候性・防水性・遮熱性を持つ塗料で、モルタル外壁に発生するクラックも抑えることが出来ます。耐用年数はフッ素樹脂同等15~20年程度です。ブライトンのエラストコートは艶消し・骨材不使用で、既存の風合いそのままに塗り替えが出来ます。
6.フッ素塗料
フッ素塗料の耐用年数 | 15~20年程度 |
蛍石という珍しい石を原料にしたフッ素樹脂塗料は紫外線や酸性雨に強く汚れが付きにくい、あらゆる面で優れた塗料です。硬膜ですので塗装時に注意点がありますが、15~20年程度の長い耐用年数で塗り替え回数を減らすことが出来ます。 塗料の密着性が悪く今後の塗り替えが難しいといわれていますが、適切な下塗り塗料を使用すれば問題ありません。
7.光触媒塗料
光触媒塗料の耐用年数 | 15~20年程度 |
聞きなれない言葉ですが植物の「光合成」と同じ作用を起こす塗料です。白色顔料の原料である酸化チタンが太陽光を吸収することで活性酸素を発生させ、外壁に付着した汚れを分解・消臭・無害化する、酸化チタンの特性を活かした塗料です。紫外線が当たることで分解と親水の効果を発揮し、分解した汚れは雨水で洗い流す【セルフクリーニング機能】で綺麗な美観を維持することが出来ます。 耐用年数は15~20年程度と長いのですが価格が非常に高く取り扱いも難しい為、光触媒塗料の特徴を熟知した業者へ依頼する必要があります。
8.無機塗料
無機塗料の耐用年数 | 15~25年程度 |
紫外線で劣化しないセラミックなどの無機物を原料にした塗料です。非常に高い耐候性と不燃性を持ち、苔や藻が発生しにくい特徴を持っています。耐用年数は15~25年程度と非常に長く、無機物に有機物の特性を付加したダイフレックスの有機ハイブリッド無機塗料「スーパーセランシリーズ」はスタジアム等の塗り替えにも使用されています。
日進産業のガイナは特殊セラミックを使用することで周辺温度に適応する性質があり、熱の均衡化をもたらし熱の移動を抑える働きをもつ無機系の断熱塗料です。
屋根と外壁に使用する塗料のグレードは変えるべき
メンテナンスサイクルとコストを考慮した上で使用塗料を決めていくのが最善ですが、屋根は太陽光と雨水に常に晒され続ける場所ですので、外壁よりも塗膜の劣化が早く傷みやすいので注意が必要です。
つまり屋根と外壁にシリコン塗料で塗り替えた場合、外壁には問題がなくとも屋根では色褪せや苔・汚れの付着が著しく見られ、塗り替えが必要になってしまいます。
屋根は耐用年数が2~3年短くなる可能性がありますので、メンテナンスサイクルを揃えて塗装するにはシリコン塗料で外壁塗装をした場合、屋根はシリコン塗料以上のフッ素塗料等を使用することをお奨め致します。
但し屋根材や外壁材にも耐用年数があります。塗装工事で雨漏りを防ぐわけではありませんので、20年使用し続けたスレート屋根材に高耐久塗料を使用するのか、屋根カバー工法等でメンテナンスを行うのかはしっかりと吟味する必要があります。
では外壁や屋根塗装と同時に塗り替える付帯部は同等の塗料で良いのでしょうか?
塩ビ製雨樋も屋根外壁と同グレード塗料で塗装できる?
多くのお住まいで使用されている塩ビ製雨樋の耐用年数は20年程度です。経年劣化で色褪せや可塑剤が染み出すことで硬くなり割れやすくなりますので、定期的な塗り替えが必要です。
塩ビ製雨樋の耐用年数 | 20年程度 |
しかし塩ビは自在に伸縮しますので、硬質のフッ素系塗料等を使用すると塗膜がひび割れてしまいます。台風や積雪によって破損してしまう可能性も充分にありますので、耐用年数が長い弾性塗料での塗装も可能ですが、交換に備える事も大切です。
錆止め塗料だけで鉄部の保護が出来る?
鉄部の下塗りには鉄と酸素・水との接触を防ぐ「錆止め塗料」が使用されます。現在の錆止め塗料はエポキシ樹脂系が多いのですが、素地の内部に浸透し素地の補強をする効果があります。 従来は鉛を原料にしていたことから赤茶色の塗料が多かったのですが、公害問題から鉛フリー塗料が使用されておりカラーバリエーションも豊富です。
錆止め塗料の耐用年数 | 5年弱と短い |
錆止め塗料の耐用年数は5年弱と短い為、必ず仕上げ塗料を塗る必要があります。錆止め塗料は下塗りですので高防錆力で速乾性の高い日本ペイントの1液ハイポンファインデクロやエスパーワンエースが使用されます。
木部に使用される塗料の種類
付帯部に木材が使用されているお住まいはまだまだ多く見られます。木材は人間と同じく「呼吸」をしており、塗料の耐用年数に関わらず塗膜が剥がれてしまいます。しかし塗装後に剥がれを起こしていない木材を見る機会もあると思います。そこで木材に使用される塗料の特徴をご紹介いたします。
1. 造膜型塗料
膜を作り耐久性・耐水性を向上させる特徴を持っています。外壁や屋根の塗料も造膜型塗料に分類されますが、木材に塗装するとパリパリと剥がれてしまう可能性があります。 浸透型塗料よりも耐用年数が長いため、簡単に塗装が出来ない高所で仕上がりが気にならない場所に使用されることが多いです。木目等は潰れてしまい、一度造膜型塗料を使用すると以降も造膜型塗料を使用する必要があり、塗り替え時には旧塗膜の撤去が必要です。
木部塗装には密着性・高い耐久性(耐用年数)・柔軟性が求められ、日本ペイントのファインパーフェクトトップや日本エンバイロケミカルズのコンゾランが使用されます。
2. 浸透型塗料
塗料が木材内部にまで染み込んで保護する特性を持っています。塗料の耐用年数は造膜型塗料に劣りますが、着色しながらも木材本来の風合いや質感を残すことが出来ます。 ウッドデッキやログハウス等、塗膜の剥がれが気になる箇所に使用されます。屋外には耐久性(耐用年数)に優れた油性(溶剤)、屋内には臭いの少ない水性が使用されることが多いです。
木材塗料の代表塗料、日本エンバイロケミカルズのキシラデコールには水性と油性(溶剤)のどちらもございますので使い勝手が良く、植物油を原料とした大谷塗料のVATONは小さなお子様やペットのいるお住まいでも安心して使用できます。
木部塗装の耐用年数 | 非常に短い |
木部塗装の耐用年数は屋根や外壁と較べると非常に短いです。耐用年数が長い造膜型塗料を使用しても剥がれてしまう可能性がある事から、施工保証も3年程度です。木材が傷み腐食し始めている場合は一層塗膜の剥がれが酷くなってしまいますので、木材が吸水し耐用年数が短くなる前に塗り替えを行うか、ガルバリウム鋼板でのカバー工事をご検討ください。
お住まいの状態を確認しないと使用塗料は決められません
屋根材にも外壁材にも耐用年数があります。雨樋や木製付帯部を確認した上で、メンテナンスサイクルを合わせられるよう使用塗料の耐用年数を考え選ぶ必要があります。2階の部屋が暑い場合は遮熱塗料、冬の寒さも軽減させたい場合は断熱塗料等、生活の中で気になる事も塗料でカバーできることもあります。 概算費用は塗布面積で求めることが出来ますが、外壁材を見なければ下地に適応するバランスのよい耐用年数の塗料を選ぶことは出来ません。つまり最終的な費用は見当もつきません。 街の外壁塗装やさんでは無料点検を承っておりますので住宅の状態、建材・塗料の耐用年数にご不明点がある方はお気軽にご相談ください。
お住まいに使用する塗料の特徴と耐用年数のまとめ
- 塗装工事はお住まいを太陽光や雨水から守るために欠かせないメンテナンスです
- 建材の耐用年数を考えた上で、塗料の耐用年数を決めましょう
- 塗料の耐久性(耐用年数)を変えるのは塗料を形成している樹脂成分です
- シリコン塗料はコストと耐用年数のバランスが良い主流塗料で、 他にも高耐久塗料がたくさん存在します
- 屋根と外壁は晒される環境が違う為、 屋根は外壁よりも耐用年数の長い塗料を使用しましょう
- 雨樋は高耐久塗料での塗り替えも可能ですが、 雨樋の耐用年数・破損の可能性も視野に入れて塗装しましょう
- 鉄部に使用される錆止め塗料は耐用年数が短い為、 必ず仕上げ塗料で保護をしましょう
- 木部には耐用年数と仕上がりが異なる2種類の塗料があります
- 塗装工事は建材と塗料の耐用年数を判断できる業者に依頼しましょう
- 美観性・耐久性(耐用年数)向上の為に定期的な塗装工事を心がけましょう
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