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シーラーとは?塗装の仕上がりと耐久性を左右する下塗りの重要性や使い分けるべき種類
更新日 : 2025年12月25日
更新日 : 2025年12月25日
外壁塗装や屋根塗装では必ず使用されている「シーラー」。
工程としても最初に外壁材や屋根材に塗られる塗料なのですが、具体的にどんな役割を持ち、なぜ必要なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
実はシーラーを活用する工程を省いてしまうと、仕上がりにムラが生じたり、塗膜が早く剥がれてしまうなど、塗装全体の寿命が大きく短くなってしまいます。
今回はシーラーの基本的な役割や種類をはじめ、プライマーやフィラーとの違い、選び方のポイントなどを、外壁塗装のプロである街の外壁塗装やさんが分かりやすくまとめました。
これから塗装を検討される方にとって、安心して判断できる知識が身につく内容となっていますので、ぜひご確認ください。
塗装工事に欠かせない「下塗り材」です
シーラーは、屋根や外壁を塗装する際に最初に塗布する下塗り材のことを指します。
下地の状態を整え、これから塗る仕上げ塗料がしっかりと定着するように導くための大切な役割を果たしています。
言葉の由来は英語の「seal(シール)」。
「塞ぐ」「密封する」「覆う」といった意味を持ち、下地からの影響を遮断したり、上塗り塗料と下地をしっかり結びつけたりする働きを示しています。
単に下地に塗る塗料というだけでなく、塗膜の美しさと強さを支える接着剤のような存在と言えるでしょう。
そもそも塗装工程は何段階あるの?
屋根・外壁の塗り替えでは、耐久性を確保するために「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りが基本です。
その最初のステップとなるのが、シーラーなどの下塗り塗料を使用した下塗り工程です。
仕上げ塗料(中塗り・上塗り)は下地に吸い込まれやすい性質がありますので、そのまま塗ってしまうと密着力が十分に発揮されず、塗りムラや早期の剥がれにつながる恐れがあります。
そこで、最初にシーラーを丁寧に塗布し下地へ浸透させることで、上から重ねる塗料の接着性を高め、均一で美しい仕上がりを実現できるのです。
シーラーを省いてしまうとどんなリスクがある?
もしこの工程を省いてしまえば、吸い込みによる色ムラ、密着不良、さらには本来の耐用年数よりも早い劣化の進行など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
そのためシーラーは、仕上がりの美観だけでなく、塗膜の寿命にも大きく関わる塗装工事の土台づくりに欠かせない存在と言えるのです。
外壁塗装で他よりも安い金額を提示された場合、見えない部分だからといって下塗り工程を省いている可能性がありますので、詳細までしっかりと確認を行うようにしましょう。
上塗り塗料との密着性を高める
シーラーが果たすもっとも基本的な役割は、下地と中塗り・上塗り塗料をしっかり結びつけることです。
多くの仕上げ塗料は、下地へ直接密着する力が強くありません。
そのため、シーラーを最初に塗っておくことで接着剤のような働きが生まれ、塗膜が早い段階で剥がれてしまう事態を防げます。
このひと手間を省いてしまうと、高品質な塗料を用いたとしても密着不良が起き、本来の耐用年数を十分に発揮できないおそれがあります。
上塗り材の吸い込みを抑える
モルタル・木材・コンクリートなど、吸水性の高い素地は塗料をぐんぐん吸い込んでしまうことがあります。
最初に塗布するシーラーはさらっとした性質を持ち、下地の奥まで浸透しながら表面を薄くコーティングしてくれます。
これにより、仕上げ塗料が必要以上に染み込むのを防ぎ、色ムラや塗料の無駄遣いを抑える効果が得られます。
吸い込みを抑制することで計画通りの塗膜の厚みが確保され、仕上がりの均一さにもつながります。
劣化した下地を内部から補強する
下塗り材の活躍は仕上げ塗料の品質を保つだけに留まりません。
シーラーではなくフィラーと呼ばれる種類の下塗り材の特徴にはなりますが、経年劣化によって脆くなった外壁や、ヘアクラックと呼ばれる細かなひびが入った素地の補強として効果的に作用します。
ひび割れの隙間へ浸透しながら内部を固めるため、弱った素地を補強し、塗料ごと剥がれてしまうトラブルの予防に繋がります。
見た目を整えるだけでなく、下地そのものを強くすることで、最終的な塗装の品質をぐっと底上げしているのです。
下地のアク・ヤニを抑える
下地からにじみ出る成分が塗膜に悪影響を及ぼすケースも少なくありません。
木材のアクやコンクリートのアルカリ成分、室内であればタバコのヤニなどは変色や劣化の原因となるため、シーラーで不要な成分を閉じ込めて影響を抑える必要があります。
上塗り塗料の発色を整える
下地の色がまばらだったり、吸い込みムラが残っていたりすると、仕上げの色が設計通りに見えないことがあります。
白色のシーラーを塗布することで、下地のトーンが均一になり、重ねる塗料の色がより鮮やかに発色しやすい状態になります。
特に仕上げ塗料に白や淡い色を使用する塗装では、シーラーの質と施工の丁寧さが最終的な美観を左右します。
お客様からしてみれば、やはり塗装工事を依頼して楽しみにされるのは仕上がりの色かと思いますので、非常に重要なポイントですよね。
仕上げの塗料を塗る前に使用する下塗り材。
その代表的なものがシーラー・プライマー・フィラーの3種類です。
いずれも下塗り材に分類されますが、担う役割や適した下地が異なるため、違いをわかりやすくご紹介いたします。
シーラーとプライマーの共通点と違い
シーラーとプライマーは現場では似た働きを持つ下塗り材として扱われることが多く、どちらも上塗り塗料をしっかり密着させるために欠かせないという役割は同じです。
プライマー(Primer)は英語の「primary(最初の)」が語源で、最初に塗る塗料として広く下塗り材全体を指すことが多いです。
一方、シーラー(Sealer)は「封じ込める」という意味を持ち、下地に浸透しながら吸い込みを抑え、弱った素地を固める役割がより強調される傾向があります。
塗装現場でのシーラーとプライマーの使い分け
明確な定義の違いはありませんが、実務においてはそれぞれ使われやすい場面が異なります。
シーラーは、モルタル・コンクリート・木材といった吸水性の高い素材に適しており、下地を強く補強する目的で使用されることが多い材料です。
一方で、プライマーは金属面や防水層、床材などの非吸水性の素材に使われることが多く、特に密着性や防錆性を求められる場面で活躍します。
似ているようでいて、どの下地に使うかで選び方が変わってくるのが特徴です。
フィラーの役割
下地の補修と表面調整を行う下塗り材
もう一種類のフィラー(Filler)は英語で「埋めるもの」を意味する通り、下地の凹凸やひび割れを補修し、表面を滑らかに整えることを主な目的としています。
特にモルタル外壁は乾燥や建物の揺れによって細かなひび割れ(ヘアクラック)が生じやすいため、フィラーが効果を発揮します。
厚く塗り付けるタイプの下塗り材であるため、塗布量が多くなる点も特徴のひとつです。
また、フィラーの中には、シーラーの持つ密着性や吸い込み防止の機能も併せ持った「微弾性フィラー」という製品もあります。
弾性力を備えているため塗膜がある程度の伸縮を可能としており、補修した箇所に再びひび割れが起こりにくく、外壁を長持ちさせる効果も期待できます。
つまり、
☑ フィラーは「凹凸補修」「表面の平滑化」
という役割の違いがあり、下地の状態に合わせた選択が仕上がりと耐久性に直結する大切なポイントになります。
基本的には業者が塗装箇所へ適した下塗り材を選択することになりますので、丁寧に施工を行ってくれる業者選びが必要になってきます。
シーラーには大きく分けて「水性タイプ」と「油性(溶剤)タイプ」があり、さらに特定の問題に対応するための機能性シーラーも存在します。
水性シーラーと油性シーラーの違い
シーラーの基本的な分類となるのが、溶剤に水を使う「水性」と、有機溶剤を使う「油性(溶剤)」の違いです。
塗装の基本として、下塗り材と上塗り材は同じ系統の塗料で組み合わせることが望ましく、水性仕上げには水性シーラー、油性仕上げには油性シーラーを使用するのが一般的です。
水性シーラー
水性シーラーは臭いが少なく扱いやすいため、住宅密集地や室内塗装、DIYにも向いています。
水が蒸発することで塗膜を形成する仕組みで、環境や人体への負荷が小さい点も魅力のひとつです。
ただし、劣化が進んで吸水が激しい下地の場合、充分な浸透や補強ができず効果が弱くなる可能性があります。
油性シーラー
油性シーラーはシンナーなどの溶剤が蒸発することで塗膜を作るタイプで、水性に比べると臭気は強くなりますが、浸透力・密着力が高く、より強固な下地の形成が期待できます。
傷みの進んだ外壁やコンクリート床など、補強が求められる場所に適しています。
下地の問題を解決するための機能性シーラーとは
基本的な水性・油性の分類に加え、特定の悩みに対処できる機能特化型のシーラーも数多く開発されています。
ヤニ止め・アク止めシーラー
ヤニ止め・アク止めシーラーは、木材からにじむアクやタバコのヤニ、雨じみといった成分が仕上げ塗料に染み出すのを抑える働きを持っています。
天井や室内の塗り替えでは特に重要で、仕上げの色ムラを防ぎ、美しい発色を保つために欠かせない下塗り材です。
コンクリート強化シーラー
コンクリート強化シーラーは、風化して脆くなったコンクリートやモルタルの内部に深く浸透し、素地そのものを固めて補強します。
カチオンシーラー
カチオンシーラーはさまざまな下地に対して高い密着性を発揮する万能型のシーラーです。
モルタルやコンクリート、各種ボードなど幅広い素材に対応できます。
アルカリ止めシーラー
アルカリ止めシーラーは新しいコンクリートやモルタルに含まれる強いアルカリ成分を抑える働きを持ち、塗膜の早期劣化を防ぐために使われます。
特に新築直後や補修後のコンクリート面で重要な下塗り材です。
このように、シーラーは「何を抑えたいのか」「何を補強したいのか」といった目的に応じて使い分ける必要があります。
シーラー塗装に使われる代表的な工法
シーラーの塗布には「ローラー工法」と「吹き付け工法」があり、下地の状態や現場の規模に応じて使い分けられます。
ローラー工法
職人がローラーやハケで丁寧に塗り広げる、最も一般的な施工方法です。
手作業ならではの細やかな仕上がりが期待でき、塗布量のコントロールもしやすいため、無駄なく均一に塗ることができます。
また、飛散が少ないため周囲を汚しにくく、室内塗装やDIYにも安心して使える工法です。
吹き付け工法
スプレーガンを使って霧状の塗料を吹き付ける方法で、広い面積の塗装に適しています。
作業効率が高く、モルタル外壁のような凹凸のある下地にも均一に塗布しやすいのが特徴です。
ただし、塗料が飛散しやすいため養生を丁寧に行う必要があり、風の影響を受けやすいことから天候も考慮しながら作業を進めなければなりません。
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守るべき乾燥時間
下塗り層が十分に乾いていない状態で次の工程に進んでしまうと、密着不足による剥がれや浮きが発生する原因になります。
種類によって異なる乾燥時間の目安
| シーラーの種類別 乾燥時間の目安 | ||
|---|---|---|
| シーラーの種類 | 乾燥時間の目安 | 特徴・注意点 |
| 水性 | 約2〜4時間 | 扱いやすく標準的な乾燥速度 |
| 油性(溶剤系) | 約4〜8時間 | 水性より時間を要するが密着力が高い |
| 浸透性 | 約4〜12時間 | 下地深くまで浸透するため長めの乾燥が必要 |
| カチオン | 約3〜6時間 | コンクリートのアルカリ抑制に効果的 |
水性シーラーはおおよそ2〜4時間、溶剤系(油性)では4〜8時間が一般的とされます。
浸透性の高いタイプは4〜12時間、コンクリートのアルカリ成分を抑えるカチオンシーラーは3〜6時間など、種類によって大きな差があります。
また、乾燥時間は気温・湿度・日当たりなど環境の影響を強く受けます。
そのため、必ず製品ごとの仕様書に記載された時間を守ることに加え、現場での判断が大切です。
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シーラー塗装の費用相場
外壁塗装を専門業者に依頼した場合、シーラー塗装(下塗り工程)の単価の目安は1㎡あたり税込1,100円前後とされています。
ただし、金額はさまざまな要因で変動します。
例えば、劣化が進んだ下地では浸透性に優れた高機能シーラーが必要になったり、吸い込みが激しい場合には2回塗りが求められることもあります。
また、ローラー工法か吹き付け工法かによってもコストが異なり、施工面積や建物の状態によって総額は大きく変わります。
劣化が進んだ下地ほど、下塗りに手間や材料費がかかるため、見積りを確認する際には使用するシーラーの種類や塗布回数がどのように設定されているかをチェックすることが大切です。
| シーラー塗装の費用が変わる主な要因 | ||
|---|---|---|
| 項目 | 内容 | 費用への影響 |
| 基本単価 | 約1,100円/㎡前後 | 一般的な住宅の目安 |
| 変動要因:下地 | 劣化が激しいと高機能品を使用 | 材料費アップの要因 |
| 変動要因:回数 | 吸い込みが強い場合は2回塗り | 手間と材料費が加算 |
| 変動要因:工法 | ローラー工法 / 吹き付け工法 | 道具や人件費が異なる |
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塗装の仕上がりを整え、長く住まいを守るためには、シーラーの種類や施工方法を正しく選ぶことが重要です。
下地の素材や傷み具合、仕上げ塗料が水性か油性かといった相性を見極めながら、最適なシーラーを用いることが仕上がりの品質に直結します。
さらに、塗料ごとに定められている乾燥時間を守ることも欠かせません。
乾ききらない状態で次の工程へ進むと、密着不良や施工不良につながってしまうため、仕様書を確認しながら丁寧に時間を置くことが求められます。
これらの注意ポイントは、どれも外壁塗装を行う業者が判断をするものです。
そのため、安心して工事を任せられる業者を選び、しっかりと下地から整えてもらうことで、仕上がりの美しさだけでなく、塗装の寿命も大きく変わってきます。
信頼できる施工を行ってくれるか、その判断には施工事例や実際のお客様から寄せられた感想が役立ちます。
ぜひ街の外壁塗装やさんの施工事例やお客様アンケートをご覧になっていただき、なぜ選ばれているのかを確かめてみてください!
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